死後も止まらない

pataさんが書いている網野追悼本。

追悼記録 網野善彦 (新書y)

追悼記録 網野善彦 (新書y)

同じ洋泉社のMC新書網野善彦『日本中世に何が起きたか』の巻末解説で、保立道久が"屈折した"評価を書いています。「これまでいろいろ批判もしたけど、死んでしまった今となってはもっとやり取りして汲み取るべきは汲み取りゃよかったよ、あ〜ちくしょう」、と。この追悼本では、色川大吉が思いっきり毒を吐いているのをはじめ、けっこうバトルロワイヤルモロ出しなのが興味深い。
個人的には面白い本を書かれた人だったと思いますが、学会での受け止められ方を顧慮せず吐きまくる豪胆ぷりが、こういうvolatileな死後評価になっているのだろうと思います。でも歴史に残る人ってそういうもんかもしれない。数十年経って、当時の文脈が忘れられた時に網野の本がどう読まれるか、想像してみると面白いです。過度に「ユーザー目線」を気にする本は、なんとなくあとに残らないんじゃないかな、とも思いますね。

来年春に出る『網野善彦著作集』(岩波書店、全19巻)、どうするかなあ。