今さらながらなんですが、明けおめ。4ヶ月ぶりに更新するサイトをブログと呼ぶのも憚られるが、今年もこんなペースになりそうです。閉鎖はしない。書けなきゃほっておくまでである。

以前は、「読んだ本」ベスト3だのベスト10だのをやっていたのだが、ここに書くヒマをなくしてから何読んだか全く覚えられなくなってしまったので、やりたくてもやれない。と書きつつ、去年印象深かった本と映画を挙げる。

私は猫ストーカー [DVD]

私は猫ストーカー [DVD]

この日記の下のほうに、映画館で見た時の感想があります。私を長い長いブランクからもう一度映画を見る気にさせてくれた作品。DVDも買った。なんといっても、ラスト近くで、古本屋の主人が和解したカミさんを机の上に座らせて赤い本を読ませるシーンが素晴らしい! 「映画的感性を揺さぶられる」(byハスミン)ちゅうやつでしょうか。あと、鈴木クンがハルさんと向かい合って、「今日もいい天気だな」とつぶやくあたりのシークエンスとか。DVD付属の音声解説で、映画監督の某矢口がくだらないコメントを連発しておりますが、なんちゃらボーイズやほにゃららガールズあたりとは全然レベルが違うと思います。ただの猫好き映画じゃない。
絢爛たる影絵―小津安二郎 (文春文庫 (383‐1))

絢爛たる影絵―小津安二郎 (文春文庫 (383‐1))

高橋治の名前は、『風の盆恋歌』の作者で直木賞作家ということくらいしか知らなかったのだが、日活の映画監督出身だとは意外だった。映画と小説を両方手掛ける人なんて他にいるのかしらん。この本は、「東京物語」で助監督をやった著者の小津安二郎へのオマージュなんだが、ハスミンの小難しい批評タームにうんざりした経験のある自分には、いい解毒剤になった。映画監督経験者による映画体験の言語化としてとてもよく出来ている本。最近でた岡田茉莉子の自伝と合わせると滋味倍増かと。というわけで日本映画いいぞいいぞと言いながらゲットした、新藤兼人による溝口健二の伝記。溝口はとにかく「わやなことばかりやるりよるお人」だったようである。そこまでして撮りたいのかと、思えば彼の映画も見たくなる罠。

最近はレンタルDVDやCS放送から吸い込んでせっせとDVDに焼いております。例えば

流れる [DVD]

流れる [DVD]

の、ラスト近くでの杉村春子が切る啖呵。かっこ良過ぎてたまりません。この映画は、ノーメーク(!)で仕切る山田五十鈴ギリシャ彫刻のように美しい岡田茉莉子、ふてぶてしい貫禄がにじみ出る栗島すみ子(16年ぶり映画復帰とは思えない)、控えめな力強さが恐ろしい田中絹代、実は意地悪な性格が分かってしまう高峰秀子と、オールスターキャストながら私のツボに刺さりまくりな一品でございます。