物語理性批判
準々決勝全部見たけどね。
どっちの「物語」の磁場が強いか、というだけで結果が決まってないか?
- イタリアvsウクライナ: 自国リーグのエースに敬意を表しつつも、バッシングによる危機バネがフル回転の「レアリスモの巨人」
- ドイツvsアルゼンチン: 戦前調子の良くなかったホームチームが国民化の象徴化するお決まりのコース
- イングランドvsポルトガル: フットボールの神様よ、イングランドをわざわざPK戦にまでひっぱらなくっても! というくらい、イングランドのトラウマを突いたミエミエのオチ。
- ブラジルvsフランス: もちろん、老骨ジダンど根性の再生物語。
もうね、スポーツ紙の見出しのために誰かが筋書き書いてるんじゃないかというくらいのコテコテぶりじゃないか。ここまで「物語」に対して脆弱になってしまったフットボールを見るのは正直悲しいです。足を引きずっていたバラックは、次に当たる国のかつての英雄であった「足の怪我に悩まされた某ファンタジスタ@PK負け風味」のパロディを演じつつ、その国に勝利することで第二次大戦の記憶を吹き飛ばし、19世紀帝国主義まで回帰する、と。
ということで、PK戦で「予定通り」イタリアが負け、ジダン老師が物語未開のポルトガルを倒し、最後はベルリンで普仏戦争の再現、と。
で、最後はジーゲスゾイレに連邦旗がたなびく、というオチが待っているわけだ。
勘弁してくれ。フットボールのここまでの「長嶋巨人」化をいったい誰が想像しただろう。
マラドーナみたいに、思いっきり「物語」のケツを蹴飛ばしてくれるプレーヤーはもういないのか。