タッチラインの向こう

えー。毎度お運びを賜りまして。
エー今更アレでございますが。なんですか、デリダなんぞというお方が海の向こうでお亡くなりになったそうで。
この方は、えー、パリさんジェントルマン、じゃなかった、パリ・サンジェルマンというチームのそれは熱狂的なファンだったんだそうですな。カントナ、じゃなかった江戸っ子みたいに喧嘩っぱやくて、あたしらにゃとても太刀打ちできないような難しい本ばかり書いたんだそうです。そういや近ごろ、東浩紀なんというお方がこのお人のおっしゃってることを郵便配達してくれたんだそうで、あたしゃ高座の合間に読んでみたんですがね、それぁもう歯が立たないン、ええ。
あの国にはもうおひと方、カミュなんぞというそれこそ舌噛んじゃいそうな名前の方もおられたんだそうで。で、こっちのお方は死ぬまでゴールキーパーしかやらなかったんだそうですな。靴が汚れるってえとお祖母ちゃんにこっぴどくぶたれるっつうんで、一番汚れそうじゃないキーパーになったんだぁそうで。律儀に死ぬまでやんなくたっていいと思うんですがね。
アタシもね、こんだけ高座やってますけど、いまだに師匠からよく頭ハタかれるん。ね。アタシの場合は、靴汚すんじゃなくて噺の出来が悪いからなんですが、誰か代わってくれねえかなあって思うんですよ。
なにね、師匠から叩かれそうになったらデリダの本出してこう言ってやりゃいいんです。

"Beyond the touchline, there is nothing."


ネタ元

(あといくつかあったが忘れた)