出隆『哲学以前』(講談社学術文庫、絶版)

日本のギリシャ哲学の泰斗が大正の終わり(!)に書いた哲学入門書。睡眠薬代わり含みで持ってきたんですが、半分読んだところで挫折。

この書物は、昔、私が幾度も途中で投げ出したように、現代の多くの若人たちも、途中で読み止めることもあろう。
(今道友信「解説」)

私が甘うございました。愛弟子今道先生の実に率直なコメントを最初に読んでおくんでした。
冒頭で、

この話は「哲学とは何か」の考察に始まらねばならぬ。それだけは承知している。
しかし、ただそれだけでもはや一歩も身動きができない。そこには不審がある、疑惑がある、迷いがある、淋しさがある、自問の責苦がある、躊躇の足枷がある、それは悪夢の沼を渉らんと焦慮する者のごときである。いかにするも次の一歩が踏み出せない。―淋しく迷ったあげくの果てに、心は振り出しの変更を求める。
しかし何から始むべきか。何が始めであるか。始めは何であるか。「始め」とは何か。「何」とは何か。・・・・・・

とおっしゃる。次の一歩はいつ出てくるんだと思いながら150ページまで読みました。
出てこなかった。