キター

限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学

限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学

他の本は全く読まずにひたすら読んだ。鉄板で今年のベスト5入り。

  • 現代日本社会の思想・問題意識圏の総点検」なんだと思う。『民主と愛国』と双璧。喩えが古いが、モノラルじゃなくてステレオサウンドで、純度の高い和音が舞台の真ん中で混ざり合っていく感じとでも申しましょうか(別に見てたわけじゃないけど)。こういうネタをライブでやる著者二人の知的スタミナは本当にすごいと思います。あとがきで宮台氏が書いているとおり、己の全てを語り尽くした"遺書"の如き感あり。
  • 興味のある向きは、ページ下の脚注を拾いながら個別具体論に手を出せるという親切レイアウトに加え、この厚さでこの価格なら大勉強じゃないでしょうか。誤字脱字の修正は読者負担で。
  • 個人的には「アイロニズムの可能性の中心」にベッカムばりの高精度クロスを入れる北田氏のほうが親近感は沸きますが、エリーティズムの30mドライブシュートをひたすら狙う宮台氏は、なかなかエレガントな人ですなあ。宮台本は実は全く読んだことがない私としても、これ1冊でお腹一杯。