木村元彦『オシムの言葉』
- 作者: 木村元彦
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2005/12/05
- メディア: 単行本
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本書はオシム本人と関係者へのインタビューに基づいて、オシムのこれまでの足跡で構成されている。オシムを知らないトーシローはここを読まれたし。ただ、そもそもトーシロー向けに書いてないという罠。
彼はサラエボ生まれである。90年W杯のユーゴ代表監督であり、ユーゴ内戦の開始時まで監督だった。ユーゴ内戦は代表チームを崩壊させ、彼はサラエボにいる奥さん娘さんと4年もの間音信不通になる。
その間、オーストリアのシュトルム・グラーツという無名クラブを率いて数々の栄光を手にするあたりは上のURLを読んでもらいたい。特に00-01年の欧州CLはすごかった。予選2回戦から本選に勝ち上がり、1次リーグはガラタサライ、モナコ、レンジャース相手に1位抜け。いうたら、野球後進県の無名公立高校が甲子園でベスト8、みたいなもんじゃんか。
ユーゴの歴史を我々はあまりに知らない。ハプスブルク朝あたりから遡らんといかんようである。西欧人が中国や朝鮮半島について不案内なのと同じ。サッカーは、そんな「血の出る物語」の中に立つことを見る側に強制するスポーツである。そういうことから自由だと錯覚する、無色透明エンタメ帝国主義な「米国的」脳天気さの対極。
田島ブログにかこつけて「スポーツは政治」みたいなことを書いたが、オシムだったら鼻で笑われそうだな。
「小僧、オマエに何がわかる?」
詳しくはこの本を読め。読んで、フットボールの怖さに戦慄せよ。