始まりの終わり

玉田の1点からデブの同点弾を浴びるまでの10分間、俺は「輝かしき我等が代表」の幻影に浸った。おかげで、花井薫が五輪決勝でトップを泳ぐ幻影に浸る「バタアシ金魚」のラストを思い浮かべてしまったよ。幻滅? そんな大げさなものじゃない。カオルのように、TVのヒーローになれなくても「自分こそがヒーローだ」と思えるメンタリティをちょっとだけ共有してしまった恥ずかしさと、「どんなことでも起こり得る」フットボールの容赦なき酩酊力の強さと、あまりに残酷過ぎて"引いて"しまった現実と。

オシムよ、我々にビンタを。
「日本人に何が分かる?」という強烈なリアリズムを。全てが終わってしまっても、こんなチンタラな文章どころか何も書く気が起こらないほどの没入と献身を求めるリゴリズムを。
ついでにカワブチはじめ我々のケツを蹴飛ばして、こう言ってやれ。

「あなた方、目は覚めていますか?」