金井美恵子のエッセイ

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

読了。しょっぱな、保坂和志に思いっきりツバを吐く文章で始まる。島田雅彦福田和也も遠慮なく炎上させる。橋本治のキモッ玉の小さいモラリズムにもナタが振るわれる。
罵倒する相手への「愛」が欠如しているがゆえの「人の良さ=色気」を隠し切れない凡百の罵倒論士は、彼女によろしく学ぶべし。
以下、柳美里石に泳ぐ魚」のモデルスキャンダルについて:

私が気に入っている柳美里批判の文章は、毎日新聞読者投稿欄に載った42歳の家事手伝いの女性のもので、<柳さんは、自分の友人のプライバシーを、本人と分かるような形で勝手に小説に仕立てました。そして、苦しんだ友人の方が訴えたにもかかわらず、平気で文学の自由を主張しました。>という、クラス会で優等生の同級生の行なったがまんならない不正行為を、意を決して告発する少女を連想してしまう作文風文章である。平気で、という言い方のカジュアルな悪意の無気味さが、不快で気に入っている。


恐ろしゅうございまする〜〜〜