大人買い2発

筑摩書房尾崎一雄全集(全15巻)購入。「謹呈 著者」のスリップが第7巻に挟まっていたので、尾崎から全集を直接贈呈された誰かから古書店に流れた模様。どんどん読んで、残り3巻ちょっとまで来ました。ちなみに全て正字正かな(旧仮名遣いに旧漢字)。
旧家に生まれ、若いころ無茶して身体を壊して死にそうになるところはいかにも私小説家という感じですが、その後隠棲して奥さんの世話を受けながら書き続けていくうちに独特の味わいが。

  • 生まれつきの向こう気の強さと、
  • カミさんに寄り掛かって生き長らえたことへの贖罪と、
  • 三途の川の手前をうろうろしながら養った「人間の生と死」への感度と、
  • 死にかけている自分の立場を「生存5カ年計画」と呼んでしまうユーモアのセンスと、

がないまぜになり、独特な雰囲気の私小説になっている。小説に出てくる奥さんとの会話は絶品。
尾崎の師匠にあたる岩波の志賀直哉全集(全16巻)も勢いで購入。バージョンが古い(1983年版。最新は2002年版)ので8,000円也。こっちも正字正かな。とうとう家人から「家の床が抜けるような買い物はしてくれるな」とクレームが入る。