山田風太郎『戦中派動乱日記 昭和24年・25年』(小学館)

戦中派動乱日記―昭和24年・昭和25年

戦中派動乱日記―昭和24年・昭和25年

風太郎日記、また買ってしまった。先生、相変わらず本読んでるなあ。
このシリーズで一番いいのは終戦前の『戦中派虫けら日記』(ちくま文庫)と『戦中派不戦日記』(講談社文庫)だろう。貧乏な学生生活と、孤独と、権力へのイノセントな怒りと、愛国心。戦争まっただ中の一青年の内面のオープンリーチ。
閉鎖した日記に書いてた『戦中派焼け跡日記 昭和21年』の感想を以下に抜粋:

無頼派・反骨の人たるイメージで語られることの多い作者ですが、24歳の彼は実によく勉強してます。読書感想よりも、教科書のどの章を読んだという記録のほうが圧倒的に多い。勤勉家だったんだね。
彼は5歳で父を、15歳で母を亡くし、親戚を家出同然に飛び出して医者になるべく東京で生きています。身寄りのない天涯孤独、医者で身を立てて生き抜いていかんとする切実な生活事情、そして、戦中・戦後を通して一貫している付和雷同的世間への批判的眼差し(ちくま文庫講談社文庫の戦中版を読むべし)の各々のベクトルが織り交ざるさまは、読んでて実に切ない。
私は風太郎の小説のよい読者ではないのですが、彼の日記は「心のかさぶたを撫でる」が如き微妙な味わいがあって大好きです。

    • -

24歳かあ。