"Yeovil 'til I Die" 読了

   This book has been written by just one fan, but I believe that he speaks for so many of you.  All of his hopes and fears, agonies and ecstasies are shared by a vast member of supporters.  His pride and passion shouts from these pages as he chronicles the events of the season.
   Yeovil 'til I die! A Ciderspace Odyssey" is the journey that we have all taken this season.  Thank you for coming with us, and we look forward to your company in Division Three.
   When the Huish Park faithful chant "Hey, Gary Johnson - do you love the Town?", you know the answer: "Yes, of course I do!"

(FORWARD By Yeovil Town manager GARY JOHNSON)

Yeovil Town FCは、108年の歴史を持ちながら一度もFAリーグに上がったことのなかったチーム。FAリーグの下のNationwide Conference(5部)とその下の地域リーグを行ったり来たり。財政難に陥ったりもした。それが、01-02シーズンから監督になったGary Johnsonの手腕が相当なもので、着任した翌年の02-03シーズンにぶっちぎりのConference1位で昇格(本書の内容はこの時のもの)。昨期はDiv3で8位。今期はDiv2(名称が変わっただけで去年のDiv3と同じ)でなんとトップ。Div2は、3位までが自動昇格、4〜7位がプレーオフなので、このまま5月まで頑張ればDiv1(3部)に上がれる。

すごいじゃん。誰か日本のチームに引き抜かないかな? 攻撃的なチームとのことで、本書の中では「ブラジル見てるみたいだ」とのサポーターのコメントが出てきます(ほんとかよ?)。日本で見られることはまずあり得ないのが残念です。

監督の話は置いといて。
本書の巻末には、02-03シーズンの(フレンドリーマッチを含む)全試合のスコアと観客動員数が載ってます。開幕当初、ホームの入りは2,000前後。思い切って実名を挙げると、今期J2に上がる徳島や草津レベルより下じゃないでしょうか。それでもConferenceではダントツに多い観客動員数だそうで、アウェーだと1,000人切ってることもあった。そういうチームを著者は30年来サポートしているのです。

本書では、『狂熱のシーズン』のように、サポーターの生々しい生態が語られることはあまりない。クラブの歴史が長いから、という妙な優越感も本書からは感じられない。サポートする日常がある意味淡々と語られている。アウェーで勝った夜、pubに監督がやって来て、慌てて握手してもらった手は絶対洗わないぞ、と言ったり、ゲンをかついで試合の朝のマグカップを変えてみたり、それこそ日本のサポーターの一風景と変わらん。等身大で同じ目線、ブログ感覚で読めます。優勝の瞬間はもちろん涙、涙。

最初は、カンファレンスの他チームとかゴール裏の名前とか、ローカルの人じゃないと分からない固有名詞が何の説明もなく出てくるところに戸惑うと思います。頻出する "Glovers" も最初はチームの愛称だと分からなかった。しかし、よくプレミアの現地放送で耳にするequaliser(同点ゴールの意味)とかheader(ヘディングの意味)とかに慣れれば&知らない単語を黙ってスルーすれば、そこそこ読めます。そんなに厚い本じゃないよ。

マンUチェルシーフーリガンイングランドサッカーで毎度おなじみの単語にうんざりの方。ぜひ!